夏休み世界中を跋扈した
『日の丸バカ親』




 新婚旅行で初めて行った海外旅行がハワイ、 …… なんて今は昔。
 一体いつから年端も行かない子供があたり前のように海外旅行に出かけるようになったのか?
 しかも 「美しい国」 が誇る( ? )バカ親に引き連れられて ……。
 キャビンアテンダントや添乗員が呆れた実態を暴露する!

 グアム行き国際線に搭乗勤務した、外資系航空会社のキャビンアテンダント( CA )が嘆息する。
 「20代半ばとおぼしき赤ちゃん連れのお母さんは、離陸後からずっとお化粧に夢中。 ついには胸に抱えていた赤ちゃんを 『メイクするのに邪魔だったから』 と、座席上の荷物棚に “収納” してしまったんです。 途中でCAが気付いたからよかったものの、あの時は足先まで血の気が引きました」
 これなどは氷山の一角で、CAらが明かすバカ親たちの行状ときたら、“仰天”の言葉だけでは到底表現しきれない。
 「搭乗後、自分の席に着くなりCAを呼んで 『ハイッ!』 と赤ちゃんを差し出す。 お客の世話をするCAは、赤ん坊のお守りもして当然だと思っているんです」 ( 日系航空会社CA )
 バリ島からの帰国便では、ぐったりとうなだれている生後8ヵ月の赤ちゃんを抱きかかえた母親が搭乗してきた。
 「伝染病の疑いもあるため、搭乗を一時見合わせて検査すると、熱が39度近くもあったんです。 でも、当の母親は涼しい顔で 『熱上がってるんだぁ』 と他人事。 聞けば 『出国の時から具合が悪かった』 そうで、 『キャンセル料を取られるから予定通り一緒に来た』 とのこと。 遠く海を越えた異国に体調の優れない赤ん坊を同伴させるのも驚きですが、 『バリは暑いから、そのせいで体温が上がったのかも』 という言い分には、対応した私たちが目を剥いて倒れそうでした」 ( 国際線CA )
 赤ん坊にミルクをあげてくれとかオムツ替えをしてくれなどと、コールボタンでCAを呼ぶのは日常茶飯事で、加えて近年では、
 「『 この子を着替えさせて』 と、乳幼児と一緒に洋服を手渡されるようになりました」 ( 日系航空会社CA )



 それでもこれらの親は 「用意があるだけマシ」 だとか。 というのも、我が子のミルクやオムツに始まり、着替えすら持参しない親も増えているというのだ。
 「機内にあるものはなんでもダダで調達する腹づもりなんです。 『それも料金のうち』 との考えで、 『着替えは置いてないの?』 と聞かれることもしょっ中。 父親は父親で、機内にある新聞や雑誌を全種類、サービスで用意されているスナックや軽食、湿布や胃腸薬に至るまで意地汚くせしめようとします」 ( 同前 )
 こんなバカ親たちは万事自己都合優先で、たとえ食事時間中でも平然と座席でオムツ替えをする。
 「『 周囲のお客様にご迷惑ですし、衛生上の観点からもトイレでお願いします』 と注意しても、ポカンとロを開けて何が悪いのかわからないといった風な親がほとんどです」 ( 国際線CA )
 オムツがとれた幼児の場合、トイレが混んでいたり、離着陸時で 「我慢できない」 ときには、あろうことか、座席でそのまま“させてしまう”親も続出中という。
 「臭気も問題ですが、粗相された後の座席はシートごと取り替えないと次のフライトで使えません。 渡航先で稀に予備のシートが尽きていた場合は大ごとで、清掃スタッフが出来る限りの処置をした後、ビニールシートでグルグル巻きにし、被害席と影響のある近くの座席は“搭乗案内不可”とせざるを得ないのです」 ( 同前 )
 繁忙期、満席続きでの影響は計り知れない。 我々がオーバーブッキングとされて搭乗見送りを強いられる要因の一つには、実はこんな理由も隠されていたのだ。
 では、こうしたバカ親がお気軽に世界へ散るとどうなるか-当然、世界各地で日本の恥と迷惑を晒す事になる。
 ラスベガスの有名マジック・ショーでは、ホール中に響く大声で泣き叫ぶ我が子に構わず、両親はショーに釘付け。 係員に退場を促されても無視したため、やむなくショーは中断され、マジシャン自らがステージを下りて問題の日本人親子席まで出向き、退場を言い渡した。
 フロリダのディズニーワールドでは、子供が身長制限で乗れないアトラクションに親だけで乗るために、言葉も通じないキャラクター・ショップに子供を置き去りにし、親たちだけで大はしやぎ。
 タイ・バンコクの空港では、親が免税店でショッピングに興じる最中、子供たちを喫煙ブースに入れて待たせる。 添乗員が慌てて連れ出すも、 「ここなら迷子にならないし、外からガラス越しに見えて安心でしょ」 となぜか得意顔だ。
 シンガポールのサファリパーク観光では、見るからに具合の悪そうな幼児がフラフラしながら参加。 「当日だとキャンセル料が全額取られてもったいないから」 と、朦朧とする我が子を、両親が気付けに度々叩く姿が周囲から大顰蹙を買った。
 他にも、マレーシアのホテルで、子供にオモチャ代わりにエレベーターのボタンを強打させ続けて故障させた親や、子供と一緒に大音量で携帯ゲーム機に興じ、ニューヨークのレストランのムードをぶち壊しにして周囲を呆れさせた親、ハワイでレンタカーの中に子供を置き去りにして警察に逮捕された親も実在する。
 他国でこの有様なら、自国での行状もおして知るべし。



 東京ディズニーランドヘのツアーでは、到着するなりバスガイドに紙オムツとミルクの入った鞄を手渡し、 「私たちが遊んで来る間、ベビーをよろしくね」 と赤ん坊を託そうとする若夫婦も相当数に上る。
 遂に、静岡の遊園地では子供だけ入園させて一部の親はバスに居残る。
 「『 私たちは買物したいから、バスをアウトレットーモールヘ走らせてよ』 とスケジュールにないわがままを言うんです。 断ると 『待機中は休んでるだけじゃないの。 怠けてないで働きなさいよ! 客の言うことが聞けないの!?』 と大暴れで、3人以上だと酔っ払いよりタチが悪い」 ( バス添乗員 )
 林間学校ツアーバスでも、 「若い女性バスガイドじゃないと、小学生男子が平気で 『ババァは要らねぇ!』 と連呼する。 そうした子の父親は面白がって 『チェンジOK?』 と野次を飛ばす。 男性添乗員は小学生女子から 『コイツ、ブサイクじゃん』 と罵倒され、母親も追い討ちを掛ける様に
『期待してたのにガッカリねぇ』 と、親指を下げてブーイングポーズを取る」 ( 埼玉の旅行代理店 )
 というから末期的だ。 親が子を戒めるどころか、便乗して騒いでいるのでは親が親たる所以もない。
 九州で家族向けのバスツアーを長く扱う旅行会社社員が嘆く。
 「団体ツアーのルールが守れない親子連れは年々増えるばかりです。 総勢45人の親子参加だと、最近では集合時間に遅れずに来るのはせいぜい30人。 残り15人はよくて30分、ひどいと1時間も遅刻です」
 その理由もアクシデントなどやむを得ない事情ではなく、買物や食事など身勝手なものが圧倒的だ。
 「福岡ドームの野球観戦ツアーでは、試合終了後、施設内にあるバッティング・マシーンを息子にやらせるため、順番待ちの長蛇の列に並んで父子が一時間遅刻した。 別行動で先に乗車していた母子は 『遅かったね』 と声を掛けただけで咎めもせず、一家全員悪びれる素振りすらない。 当然、他の客からブーイングがあがり、添乗員が一人一人なだめて回りました」 ( 同前 )
 バスの出発が遅れれば家に帰り着くのも遅れる。 そして大抵の客は、それを帰宅後まで根に持つ。
 「その憤懣を和らげるために、最近では対策として予め500円玉入りのポチ袋を人数分用意しておき、時間を守った方だけへ帰りがけに配っています。 気持ちだけでも差を付けないと、ルールを守った方が貧乏クジを引くのではいたたまれませんから」 ( 同前 )
 全掴のリゾートホテルや旅館でもバカ親の被害は尋常ではない。
 「お盆休み中の混んだ館内を全力疾走して、親子5人が鬼ごっこ。 母親に注意すると 『最近はカー杯走れる場所が少ないから子供たち も大喜びよ』 と意に介さず、次いで父親に言うと 『宿で客がどんな風に楽しもうと勝手だろう。 指図するなッ!!』 と怒鳴り散らされました」 ( 愛知県の旅館 )
 いまや 「廊下は走らない」 「トイレはキレイに」 などの貼紙を施す宿も増え、大浴場の更衣室では 「遊泳禁止」 に 「ゴーグル禁止」 も加わった。 売店では 「大人の万引き、子供も止めよう」 のスローガンまで躍る。
 畳敷き大広間の夕食時には、子供を野放しにしてハメを外すバカ親が引きも切らない。
「日によってはあちこちの家族がやりたい放題で、まるで 『野生の王国』 です」 ( 栃木のリゾートホテル )
 他の客との間仕切りのつい立ても“かくれんぼ”の小道具にして縦横無尽に走り回る我が子を、 「のびのび育ててるんですよ」 と、注意に来た従業員へ誇らし気に自慢する。
 畳の上に空ビール瓶を立て、オシボリを詰めた汁椀2つをタオルで巻いた“球”でボウリング。 瓶には中身が残っていて畳を濡らすこともしばしばだ。
 バカ親同士のグループでは大人だけが勝手に盛り上がり、退屈を持て余した子供が、食事中の他の客のテーブルヘスライディング。
 「詫びるどころか、 『心配ないわ。 ( 子供が )無事だったから』 。 そして 『汚れた子供の服のクリーニング代は宿で出してくれるの?』 と続き、 『もっとしっかり仲居さんが見てくれてなきゃダメじゃない。 たるんでるわねぇ』 とロを尖らせる」 ( 福島県の旅館 )
 さらには、食事中でも子供をテーブルの上に乗せて、ステージ代わりに歌や踊りを披露。 大所帯では、じじばばも一緒に 「まぁ、上手ねぇ」 と目を細めて手拍子する始末で、こうした家族では 「祖父母が抑止力になることはまず乏しく、大抵は一層甘やかすだけの結果に終わる」 と、どの宿の関係者もロを揃える。
 少子高齢化が叫ばれて久しく、最近では、三世代、四世代旅行も珍しくなくなった。
 大手旅行代理店社員が打ち明ける。
 「『 孫と一緒に行けるなら』 と、孫の分も祖父母が負担するケースは多い。 子供夫婦にしてみれば旅行代金が浮く上、親孝行にもなるし、子供の面倒も見てもらえて、一石“三”鳥。 しかし実態は、祖父母を体よく“奴隷扱い”にしているケースも少なくないのです」
 子供夫婦と孫がビジネスクラスで、老夫婦はエコノミーというケースもある。
 「『 娘家族には将来があるから』 とかおっしゃるんですが、足の悪い老婦人がエコノミー席で窮屈そうにしているのを見ると、何か違うんじゃないかと ……」 ( 国際線CA )
 現地では観光も二の次に、子守りを押し付けられる。
 「オプショナルツアーの申し込みがご夫婦と就学児のみだったので、 『おばあちゃまと下のお子様は?』 と尋ねると、 『ホテルで留守番。 年寄りに何見せたってムダだし、どうせ子守り用に連れて来てるんだから』 と言いのける」 ( オーストラリアの旅行代理店 )
 完全に財布目当てにされた場合はもっと悲惨だ。
 「店内で高価なブランド物をねだられて拒むと、 『金も出さないのに、何しについて来たんだよッ!』 と小中学生の孫に暴言を吐かれる祖父母もいます」 ( ハワイのショップ店員 )



 搭乗歴22年の、国際線チーフCAが眉を顰める。
 「お得意様で、かつて機内販売の商品を何でも買い与え、娘をわがまま放題に甘やかして育てていた母親がいました。 最近では、手の施し様もないほど傍若無人に育った娘と、彼女が産んだ利かん坊の孫の“召し使い役”として搭乗して来られます。 あの家族を見るにつけ、結局、子供は親が育てたようにしか育たないと思い知らされるんです」
 30余年にわたる教員経験に基づいて 「問題のある子は、多くは問題のある親から」 と説くのは、 『知的大人となるためのことわざ社会心理学ー日本の常識・ 「日本人道」 を極める』 の著作を持つ、穴田義孝・明治大学教授だ。 同氏は 「今の日本で深刻なのは、社会適応力を備えた“知的大人”が十分に育っていないこと」 だと指摘する。
 「知性の乏しい人とは、感情に支配されて“損・得”という二者択一の価値観でしかものごとを捉えず、自己規制なく行動する人。 一方、知性の豊かな人とは物事のバランス感覚に優れ、自己コントロールができる人を意味します。 《 知識 》 は溜まって 《 知恵 》 となり、使いこなして 《 知性 》 になる。 その集積が 《 品性 》 へと繋がります。 現代社会で、その発達が止まっている人がどれだけいるか、ということ。 知性は、単に年を重ねれば身に着くものではなく、ましてやお金で買えるものでもないのです」
 前出のチーフCAが続ける。
 「先頃、ファーストクラスに三世代家族が搭乗されました。 食事が終わるや私の制服を指で掴んで、 『お前、コレ下げとけよ』 と指図する6歳児に、祖父母や両親が目指すところの“帝王学”が身についているとは到底思えませんでした。 成長の行末が心配です」