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調

[ 化学 ] 派遣切りが社会的な問題になっている。 しかしこれは企業の存続に関わる問題であり、雇用の調整弁として非正規労働者を活用するのは当然だ。 うちでも3月末で一定数切る予定だが、決して脱法行為をしているわけではない。
[ サービス ] そうはいっても内部留保を含めて体力のある名だたる大手企業が派遣、契約社員など非正規労働者を契約期間満了前に切るのは問題だ。 心ある経営者ならば労働組合の意見を尊重して、個人の生活に配慮するものだが、どうも短期的視点で節操もなく首を切っているようにしか見えない。
[ 化学 ] 本音では人を減らすべきではないと思うが、たとえば店舗を閉鎖するとか、製造業のように生産を減らすとなると、人を削減しないと経営は成り立たない。 もちろん再配置をするとか何らかの企業努力をしなくてはいけないとは思うが、派遣社員の場合は本人と直接雇用契約を結んでいるわけではない。 契約期間満了で減らすのは自然の行為だと思う。
[ 電機 ] もう一つ頭がいたいのは定年後の再雇用だ。 法律で65歳まで雇用が義務づけられているが、今までは基本的に希望者全員を契約社員として雇用してきたが、それもできない。 再雇用基準を厳しくして選別せざるをえない状況だ。
[ 広告 ] 定年後の雇用延長にはブレーキはかかるだろう。 とくに現役社員の首を切っている会社で希望者全員の雇用延長をするとなると、順番が逆だろうと言われかねない。 正直言って定年をすぎた人を守っている余裕はないよ。
[ 流通 ] 雇用を維持する努力はするが、増やしていくのは難しい。 とくに流通業界はこれまで地方は厳しくても大都市部はそれほどでもなかった。 しかし都市部の売り上げも去年の9月以降落ちている。 店舗を閉鎖して、営業しないほうが利益が上がるという状況にまでなっている。
[ サービス ] すでに正社員の賃金カットも始まっている。 今のところ管理職のみ5%のカットだが、本当にひどくなると一般社員で5%、管理職は10%カット、事業部長クラスになれば30%ぐらいカットされるかもしれない。
[ 化学 ] 今年間違いなく下がるのはボーナスだ。 組合員は労使協定があるから、本当に厳しくなるまでは手をつけない。 夏のボーナスは維持されるかもしれないが、冬のボーナスは相当下がると見ている。
[ 電機 ] これまでは賃金はあまり上げずに、業績に連動させて賞与を増やしてきた。 当然、業績が悪くなると賞与は下がる。 今までは業績好調でその分賞与が高かったわけだから、しょうがない。
[ サービス ] うちは2002年に成果主義人事制度を導入し、管理職も降格ありの仕組みを入れたので、賃金は社員間で格差が開いたが、その分を高い賞与が埋めていた。 社員は人事制度が変わってもそれほど給与は変わらないと思っていたが、今年は社員間の賃金格差も広がるだろう。
[ 広告 ] 今までは成果主義を入れても業績が右肩上がりだったから、賞与が高いために、年収ベースではメリハリのある報酬にはなっていなかった。 ところが今度は違う。 去年に比べて数百万円単位で下がる人も珍しくないだろう。



[ 電機 ] リストラが加速している。 02年の不況時のリストラが震度4から5とすれば、今回は震度6か7レベルの烈震だ。 発表している削減数でも7000人とか2万人とか、とにかく規模が大きすぎる。 自動車から始まり、主要産業の電機や鉄鋼のリストラがきて、次は化学だろう。
[ 化学 ] うちも自動車や電機産業からの受注比率は高い。 需要が急減して在庫があふれている状態だ。 確かに以前の不況とは深刻度が全然違う。
[ サービス ] すでに関連会社に社員を送り込む動きが始まっている。 人件費負担の面倒を見る前提で、出向という形で送り込んでいる。 企業としてはとりあえず預かってくれという形だ。 一般に水面下の人減らし策として転籍文化と財閥系の出向文化がある。 出向文化の企業は55歳をすぎると、関連会社や取引先に出向させる。 大手だと数百人規模になる。 しかし、ここまで業績が悪くなると、人件費を全額出向先に負担してもらって、転籍させるしかないだろう。
[ 化学 ] うちもそうしたいところだが、それなりに使える人材なら転籍で押し込めるが、パフォーマンスの悪い社員は今、どんどん本社に戻されている。 さすがに取引先も抱え込む体力がなくなり、会社からは「3月末までにお返しします」という話も増えてきている。 こちらとしては「社長、そんなこと言わないでなんとか後1年はお願いしますよ」と言っているが“返品”が増えている。 彼らをどうするか頭がいたい問題だ。
[ 広告 ] うちの場合は団塊の世代の社員が多く、今後5~6年の間に定年を迎えて社員が大幅に減少する見込みだが、その前に何らかの対策を迫られるかもしれない。 ただし、うちは「人は財産」という方針で過去にも希望退職を実施したことがないし、人事としてはそれを願うしかないね。
[ サービス ] 同業他社の人事部では人事担当役員から、人員削減を見越して、引き取ってくれそうな企業の情報を集めておけ、という指令が出ているそうだ。 人事部員一人につき紹介先が何件というノルマを課している会社もある。 こんな状況で人を欲しがっている会社を探すのは大変だ。 業界内で探すのは至難の業で、業界外で探すしかないが、再就職できても年収が下がるのは間違いない。
[ 電機 ] リストラの対象となるのは削減効果の大きいところから、というのが常識だ。 一番手っ取り早いのが不採算部署を閉鎖する部分整理解雇だ。 次に対象になるのは人件費コストが高くて、切りやすい管理職だろう。 非組合員ということもあるが、事業規模が小さくなるとマネージする人はそれほどいらなくなる。 その次は中高年のスタッフ職だ。 人件費も相対的に高い層であることは間違いない。 年齢的には45歳以上だろうね。
[ 流通 ] うちは今のところどうするかは未定だが、同業他社の過去のリストラではバブル期入社世代を対象に35歳以上を対象にした実績もあり、今回やるとすれば35歳以上になるかもしれない。
[ 広告 ] 大企業であれば簡単に若い層を切るのは二の足を踏むのではないか。 50代であればまだしも、30代、40代にはそう簡単に手をつけられない。 ただし、来年も赤字となり、二期連続赤字となってくれば40代にも手をつけざるをえなくなる。 メーカーの場合は、工場のラインを止めて新たにつくる仕事がないから切るしかないと言われれば何も言えない。
[ サービス ] 人事とすれば年齢が上のほうが切りやすい。 日頃から実力主義だ、年齢は関係ないと言っているが、切るとなったら、どうしても会社での寿命が残り少ない人から切ろうとする心理が働く。 しかし深刻さの度合いにもよるけど、社員の8割がリストラ対象だよ。 安泰なのは会社を支える2割の社員。 それ以外なら、誰でも対象になっておかしくない。
[ 電機 ] もちろん対象者全員を切るわけではない。 当然人事考課の成績を前提に選別することになる。 また、今後伸ばしたい事業の推進者になってもらえる人や特別の技術を持っているとか、顧客先に通じている人は残したいと思うだろう。
[ 流通 ] 希望退職や早期退職は下手にやると、どこの部署でも使える優秀な人が手を挙げる可能性がある。 逆にどこの部署でも使いたがらない人はしがみつく。 単純にやると頭数は減っても、人材の質が低下する事態に陥るリスクがある。
[ 化学 ] もちろん、あからさまな退職勧奨はできないが、実際は人事考課を使って評価を盾に戦力外であることを匂わせて辞めさせるしかない。
[ 広告 ] うちでは今のところ希望退職までやる必要はない。 過去に事業所を閉鎖したことがあるが、その場合でも別の事業所に配置したり、地元に残りたい人には手厚い退職加算金を払ったことがある。
[ サービス ] 退職金の加算も昔ほどは出せない。 以前の不況期には通常の退職金プラス48カ月というのも珍しくなかった。 今では出しても1年分が限度だろうね。



[ サービス ] うちは例年120人程度新卒を採用している。 正式に経営会議にかけてはいないが、経営環境も厳しいので来年の採用数は半分以下に落とすつもりだ。 人事からすればバブル期に採用をやめたように過去の二の舞いになるのは避けたいし、ゼロにはしたくない。 5人でも10人でもいいから採ってほしいね。
[ 流通 ] うちは例年並みか、最低でも100人の新卒採用は維持していかないといけないと思っている。 採用しないで穴が空くことで将来、必ず問題が発生する。 例えばマネジャー層になってくると、人材の枯渇感が生まれてくる。 たとえ80人に減ってもしっかりと継続して採用していく必要がある。
[ 広告 ] この数年間に採りすぎていた部分もあるが、2割減なのか3割減なのかわからない。 経営の考え方に人事がどれだけ抵抗するかで決まる。 我々としては下げたくはない。 その気持ちを最終的に経営トップに言えるかどうかだ。
[ 電機 ] 比較的傷が浅い業界ならいいが、取引先が倒産しているとか、同業他社がリストラや賃金カットをやっているとなると、自分の会社だけ採用数を維持することはできないなという心理が働く。 結果的に負のスパイラルに陥り、行きすぎた削減になる。 それだけは避けたい。
[ 化学 ] 人材会社に聞くと、中途採用は去年の11月ぐらいから急速に減り、その後はますます求人数が減っているらしい。 逆に急減した企業から放出された求職者が増加している状況だという。 今年半ばになると相当悪化するのではないか。
[ 流通 ] うちとしては30代層の穴が空いている部分を補うために専門知識の高い即戦力となる人材は厳選して採用していくつもりだ。
[ サービス ] この数年は毎年30人規模で採用してきているが、これからはほどほどにしないといけない。 現役社員の雇用を守っている中で、新たに人を増やすことはできない。 中途の採用が冷え込むのは間違いない。 すでに同業他社も中途採用の抑制を始めている。
[ 電機 ] 今後、賃金制度、なかでもボーナスに手をつけることになるかもしれない。 これまではいくら成績が悪くてもせいぜい15%程度のダウンだったが、今後は成果が出ないと30%、50%ダウンもあるという仕組みに変えるかもしれない。 もちろん成果の高い社員にはそれなりのアップを保証する。 そうなると社員間で優劣が極端に開くことになるだろう。
[ 流通 ] 逆の見方をしている。 行きすぎた成果主義の反省から、成果も大事だが、チームワーク重視という昔の方向に戻ってくるのではないか。 個人の成果、業績を重視するやり方は日本では根付かなかったという反省も出てきている。 こういう厳しい状況だからこそ職場のメンバーがチームワークを重視して一丸となってがんばるという姿勢が必要だ。 成果的要素は入るとしても将来に対する安心感を与える意味で年功的なものを採り入れる企業が出てくるのではないか。
[ 化学 ] 企業の考え方、価値観によって大きく異なる制度の見直しが進むかもしれない。 非管理職層の若い世代に対しては年功的要素にして、管理職は逆に成果的要素を強める。 評価要素は人材育成を重視した内容に変えていく企業が増えるのではないか。
[ 広告 ] 基本的に今の不景気が2~3年で終わるという認識を持つ経営者なら人事制度に手をつけないと思う。 制度設計して導入するとなれば、2年はかかるしね。
[ 電機 ] 諸手当などの改革は進むだろう。 業績が悪くなるとまず手をつけるのが3K。 つまり広告宣伝費、交通費、交際費だ。 それから以前の不況時に一時的に出張の日当をゼロにしたことがある。 こうした間接費コストを極限まで下げたうえで人件費コストに手をつけるというのがリストラの常道だ。
[ 化学 ] 四つ目が教育研修費。 前回のバブル後の不況では総労務費に対する教育研修費の割合が下がり、現在の半分ぐらいの水準にまで落ち込んだ。
[ 広告 ] うちの場合も人は大事だから、育成費用は削るなと経営トップはことあるごとに言うが、それがどこまで許されるかだ。 でも人材育成費用を削るのは最後の手段だよ。 ここに手をつける前に接待ゴルフとかグリーン車に乗るのをやめるなど他の費用を削るだけ削り、人材育成費用は削らないでほしい。 人材育成はそれこそ20年の計だ。



[ 化学 ] 今後、数値達成の圧力は強まるだろう。 メーカーの場合、予算というのは決算数値ぐらいの精度を持って組まれる。 営業部長の場合、部の達成率が70%程度だとボーナスはがくんと減らされる。
[ サービス ] 正直言って社員には危機感がないと思うね。 業績が悪くても給料は出ているし、なんとか不自由のない生活はしている。 でも、そうした状況に安住していてはいずれ墓穴を掘ることになる。
[ 流通 ] 大事なのは変化に対応していけるかだ。 歴史を振り返ってみても、強いものや大きなものが生き残ってきたわけではない。 変化に対応できたものだけが生き残ってきた。 まさに今は変化ができるか問われている時代だ。 会社は仕事の質や効率を高めていくことを厳しく求めてくるだろう。 社員も今までの仕事のやり方を見直しつつ、仕事以外の時間もうまく活用しながら、知人とのネットワークによる情報の収集などいろんな引き出しを持って仕事のアイデアにつなげていくことがより重要になってくると思う。
[ 電機 ] オバマ大統領のチェンジではないが、今までの延長線だけで仕事をしていては変化に対応できない。 会社の内外にいろんなアンテナを張り巡らしておかないと生き残れないね。 嵐がすぎるのをじっと黙ってやりすごそうとする人間は会社もいらないし、一番危ないね。
[ サービス ] 上司のご機嫌伺いばかりしている人も生き残るのは難しい。 あるいは根回し術しか知らない人もいらない。
[ 広告 ] 部下がいないと何もできない昔型の上司もいらない。 部下がつかなくても、組織の応援がなくても自分で動ける人でなければ生き残れないだろう。 指示待ちで言われたことだけを忠実にやる人間はいくらでもいる。 そうではなく自分から主体的に動いて、提言できる人。 また彼でなければ任せられないと上司や周囲に思わせられるような人でないといけない。
[ 流通 ] 実際、そんな人間は少ない。 でも過去にとらわれることなく、何事も恐れずに新しいことをクリエートするタイプが求められている。 同じ部署から3人引きずり下ろすとすれば現実には候補はいくらでもいる。 代替可能な人はまず引きずり下ろされるのが世の常だ。
[ 電機 ] サラリーマンとして今の危機を乗り切るうえで重要なのはネットワークだ。 人的ネットワークをいかに多種多様に築いて、維持していくことがリスクを回避する最大の秘訣だと思う。 会社の内外に豊富なネットワークを築くことができれば、いざというとき、何とか生き延びていくことができると思う。






 





 いよいよ就活本番だ。 すでに始まっているところもあるが、大手製造業などはこれから本格的に始まる。 有名企業の採用は、売り手市場とは言いながら学生に対する視線は依然と厳しく、ハードルは高い。 出身大学は見るにしても、同じ大学から多数を採るわけではなく、逆に大学内で選別される。 加えてこれまで採用してこなかった大学にも触手を伸ばし、優秀な人材を探しだそうとする傾向も強まっている。

 リーマンショック以降、100社以上の大手企業を対象に、新卒人材に求める資質・能力とは何かを取材してきたが、基本的には不況期だろうが、好況期だろうが変わっていない。 企業が求める人材の能力は何か。 一部の技術系学生を除き、日本企業の多くはポテンシャル採用だ。

 では各社に共通するポテンシャルとは何か。 大別すると以下の6つだ。
( 1 ) チャレンジ精神( 変革する力、バイタリティ )
( 2 ) チームワーク力( 共感力、チーム志向 )
( 3 ) コミュニケーション力( 論理的思考、伝える力 )
( 4 ) リーダーシップ力( 周囲を巻き込む力、主導力 )
( 5 ) 主体的行動力( 自律的アクティビィティ、やりぬく力 )
( 6 ) グローバル素養( 異文化受容力、語学力 )
 6つの要件は共通するといっても、企業・業種によって比重の置き方も違えば、同じ言葉でも込められている意味が微妙に違う。 以下、業界別の人事担当者にその中身を解説してもらう。

 チャレンジ精神( 変革力 )の意味については、 「結果を恐れず信念を持って仕事に取り組める人」 ( 化粧品 )であり、 「強い思いと迅速な行動で変化に挑む人」 ( 石油 )でもある。 テレビ局の場合は 「何事にも臆することのない器量、度胸、肝が据わった “胆力” のある人」 だ。

 もちろんチャレンジ精神はそれだけにとどまらない。 ホテル業の場合は 「既存の伝統や価値観を所与のものとせず、顧客の嗜好やニーズを先取りし、常に変革を志向する人材」。 また、テレビ局では 「既存の常識や概念にとらわれていては番組を作れない。 奇抜な発想でも信じたら全力でやり抜く “突破力” のある人」 が求められている。 過去の前例や経験値にとらわれない人材を意味している。

 そして変革を実現するにはどうするか。 建設業の人事担当者は 「多角的な視点を持ち、直感ではなくしっかりとした情報収集に基づいて自ら導き出した考えを周囲に納得させ、行動できる人」 と言う。




 チームワーク力と言えば、協調性や自分の主張を抑制し、多数に同調するイメージを想像しがちであるがそうではない。 携帯電話会社の人事担当者は 「単なる迎合ではなく、チームの中で自分の果たすべき役割を持ち、仲間と共に目的を達成できる人」 だと言う。 あるいは 「個々人が高度の専門性を持つプロ集団の一員としての自覚を持っている」 ( 建設 )といった積極的な意味合いで使っているのが特徴だ。 さらに自動車会社の人事担当者は 「周囲の話に耳を傾け、積極的に学び取ろうとする意欲を持った人」 だ。

 コミュニケーション力は学生に限らず、今では社会人全体に欠けている能力の一つであるが、その意味や使われ方は企業によって違う。 鉄道会社の人事担当者は 「愛想が良いとか人あたりが良いというだけではダメだ。 相手にどう伝えるのか、論理的思考力に裏打ちされた説明能力のある人」 と言う。 顧客先との打合せや社内プロジェクトのメンバーとの意思疎通が不可欠な情報通信業の場合は 「単なるメッセンジャーではこの仕事は務まらない。 第一人称の立場で自分はどうしたいのか、自律性を持って顧客や社内の人間と会話や議論ができる人」 といった主体性を重視する。

 同じように自社のビジネス的視点からチェックしている企業も多い。 たとえば旅行業の人事担当者は 「自分が信じる価値を人脈・ネットワークなどあらゆる手段を使って、その価値を認識してもらうようにする人かどうか」 を見ているという。

 また、別の旅行業の人事担当者は 「旅行業はあらゆる世代がお客様だ。世代を超えて若い人から老人まで相手の立場を尊重しながら会話ができる人なのかどうかをチェックしている。 そのために核家族で育ったのか、あるいは小さい頃からおじいちゃん、おばあちゃん、親戚の人に囲まれて育ったのかを確認している。 大家族で育った人ほうがどんな人に対しても自然体で対応できるし、仕事もできる」 と指摘する。

 ホテル業の人事担当者は 「ホスピタリティ( 心のこもったおもてなしの心 )を備えた人」 を重視する。 また、そのチェック手段として 「企業説明会の受け付け時の対応や歩き方、面接時の控え室でのしぐさも見ている」 と言う。

 また、医師に対して営業活動を行うMR( 医薬情報担当者 )職におけるコミュニケーション力は 「伝える力」 に重点を置いている。 製薬業の人事担当者は 「面接では派手なパフォーマンスより、質問に的確に答え、必要な情報を確実に伝えることができるかどうかを見ている」 と語る。




 リーダーシップ力は将来の経営を担う幹部人材候補である総合職に対して昔も今も求められている能力だ。 入社後は人事異動によってあらゆる職種を経験させながら国内にとどまらず、海外の拠点などの現場でマネジメントができる人材の育成が行われてきた。

 しかし、近年は現場の管理者の育成に加えて、高度化・複雑化するビジネスに対応する高い専門性を持つ知識労働者の育成も重要な課題になっている。 リーダーシップの意味合いも単に部下を統率する力だけではない。 総合商社の人事担当者は 「仕事柄、様々な事業投資先のパートナーと組んで仕事をするケースが多い。 その中で相手の信頼を勝ち得て、事業を切り開く能力がリーダーシップだ」 と言う。 取引先も含めた関係性の中での力の発揮が求められている。

 自動車会社の場合も部品会社など様々な取引先と組んで仕事をすることが多い。 人事担当者はリーダーシップ力のある人を 「他者の価値観を尊重し、謙虚に他人の意見に耳を傾け、周囲を巻き込みながら仕事を進めていける人」 だと言う。 建設業の場合も下請け、孫請けなど多くの企業と連携しながら仕事をする。 的確な情報に基づいた判断力が問われる。 人事担当者は 「他人から聞いた情報はあくまで他人の情報であり、決して鵜呑みにしてはいけない。 自分なりに分析し、 “他人の情報を自分の情報にする” 作業ができ、最適解に導く力を持つ人」 がリーダーと定義し、より高いレベルの能力を求める。

 主体的行動力とは、チャレンジ精神と並んでビジネスモデルの変革期に直面する企業にとって重視する要素の一つだ。 情報システム会社の場合、企業のシステム構築作業の過程で無理難題な課題解決を迫られることも少なくない。 人事担当者は 「困難に遭遇しても決して逃げない、自ら飛び込んでなんとか解決してやろうという意気込みを持った人」 だという。

 お堅いイメージの銀行業界でも主体的行動力は必要だ。 大手メガバンクの人事担当者は 「お客様のニーズや要望を聞き取り、言うことが正しいと確信したら、たとえ上司が異論を挟んでも、自分が正しいと思う顧客の意見を貫ける人かどうかを見ている」 と語る。

 総合商社の場合は相手先とのトラブルはつきもの。 その時に相手に責任をなすりつけることがあってはならない。 人事担当者は 「何かトラブルが発生しても、すべてを自分の責任ととらえ、問題を解決するには自分に何ができるのかを突き詰めて考えて行動する自責型人材を求めている」 と語る。 また、やみくもに行動するだけではいけない。 百貨店の人事担当者は 「何をすればよいのか自らじっくりと考える思考力を持ち、それを実現する行動力のバランスを兼ね備えた人がうちには向いている」 という。

 さらに主体的行動力を高めるには失敗を前向きにとらえる人だと石油業の人事担当者は言う。 「常に前向きに行動し、失敗したら解決するために勉強すること。 生涯学ぶ姿勢を持ち続けられる人がほしい」。




 グローバル素養は今、企業が最も求めている要素の一つかもしれない。 一言で言えば海外で活躍してくれる人材だが、その内容は業種や職種によっても異なるし、企業がどのような活躍シーンを描いているかでも違う。

 総合商社の人事担当者は 「よく自分はブラジルのビジネスなら誰にも負けないし、人脈も豊富だと自慢する人がいるが、それは昔活躍した人。 今はブラジルやアメリカ、アジアと国境を越えてビジネスがつながっている。 どんな国・地域に行っても商談をまとめてくるタフネゴシエイターが求められている」 と言う。

 では、海外で活躍するタフネゴシエイターの素養とは何だろうか。 石油業界の人事担当者は 「語学力や海外経験があるから活躍できるとは限らない。 実際にTOEICの点数が500点しかない駐在員がアメリカにいるが、なぜか彼は大きな商談を次々にまとめている。 タフネゴシエイターの素養として、物怖じしないコミュニケーション力とどこにでも飛び込んでいける度胸だと思う。 面接でもその点を重視している」 と語る。

 一方、現地に生産・販売拠点を構える製造業などの場合は、現地の社員をマネジメントできるリーダー人材候補を採用したいという思いがあるようだ。 海外で活躍するリーダー人材候補を採用している化粧品会社の人事担当者は、リーダーシップ力に加えて 「TOEICなどの英語力の点数が高くなくても、様々な国・人種の考え方を受け入れ、融合していけるセンスやスキルを持つ人が欲しい。 そのため日本人でも、海外の大学に留学していた人、幼少時代から海外に住んでいた人、日本の大学で留学生の受入係をやっていたという経験などいろんな異文化体験の中身を聞いて見極めている」 と語る。

 もちろん語学力があるにこしたことはないが、それ以上に求められるのは現地に行っても仕事ができるかどうかだ。 エンジニアリング会社の人事担当者は 「TOEICが800点以上で、海外ならどこにでも行きますという学生が多いが、ふだんの生活ぶりを聞くと、研究室以外にあまり外に出たことがない学生も多い。 本当にアジアの山奥や中東に行って相手と交渉するなどハードワークに耐えられるのか。 行ってもすぐにメンタル不調になるのではないかと思うタイプは極力避けている」 と語る。

 企業が求めるポテンシャルは共通する要素は多いが、業種・企業の社風やビジネスによって求める能力は微妙に違うものだ。 その点をしっかりと研究することをお勧めしたい。


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人事部長の本音
人事と世間の本音
「一流校、二流校、三流校」 の分岐点は?